ヒトの心拍数に影響を与える生理学的要因は下図のようであり、心拍変動と自律神経機能の関連については、1980年代に心拍変動の研究が始まって以 来、周波数解析した結果の成分毎に生理反応がある(Eckbergら)という説と、成分の比率によって生理反応がある(Millianiら)という二説に 分かれています。

いずれにしましても、①精度よく心拍変動を採取し、②一拍ごとの成分をリアルタイム解析し、③心拍変動解析を動的にかつ定量化すれば、動的な自律神経反応をとらえることができます。

クロスウェルは従来法と異なり、動的な自律神経反射をとらえることを追究しています。

【ヒトの心拍数に影響を与える生理学的要因 (心拍変動解析の意味)】

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ヒトの心拍数に影響を与える生理学的要因(心拍変動解析の意味)

〔全文〕

心 拍数(HR)とは、心臓のペースメーカー細胞である洞房結節(SANode)の発火周波数であるが、それは延髄心臓血管中枢(Medullary CV Centers)より発した交感神経(Sympathetic)および迷走神経(Vagus)により、それぞれ興奮性および抑制支配を受ける。心臓血管中 枢には、1)呼吸(Respiration)による肺の伸展(Lung Stretch)、呼吸と同期した脳幹の周期的活動(Respiratory Oscillation)、および組織の酸素不足(Tissue Hypoxia)、2)動脈(Arterial)あるいは静脈血圧(Venous Pressure)信号、および血圧の変動と同期した脳幹の周期的活動 (Vasomotor Rhythm)、さらには3)高次脳中枢(Higher Brain Centers)より行動(Behavior)、情動(Emotion)、概日リズム(Circadian Rhythm)が影響をおよぼしている。

(Respiratory sinus arrhythmia:Autonomic origins,physiological mechanisms,and psychophysiological  implication.Psychophysiology 1993;30:183-196参考)