1月20日は大寒。1年中で最も寒い時季です。小寒(1月5日)から立春(2月4日)までの30日間を寒の内といい、大寒はそのまん中にあたります。
この季節に要注意の「ヒートショック」とは、入浴時など急激な温度の変化により、心筋梗塞や脳出血などの健康被害の危険性が高まる状態をいいます。
年間約1万7,000人が入浴中に亡くなっているという推計があり、その死者数は、交通事故よりも多いとされています。
また、厚労省の人口動態調査によると、2004年に2,813人だった家庭の浴槽での溺死は、2011年には4,554人と急増しています。

今回は、浴槽での溺死がなぜ起こるのかを考察してみました。

脳血流はAutoregulation(自動調節)機能により、一定の血圧の変化範囲内(健常者 で平均血圧(40~150mmhg)・高血圧症で平均血圧(60~160mmhg))では、一定に保たれています。入浴中に血圧が低下し、脳虚血が生じるのでしょうか・・・・・。

 

参考)Lassen NA: Cerebral blood flow and oxygen consumption in man.Physiological Reviews 39:183-238,1959

 

 

 

■43℃の高温の浴槽で実験してみました。

健常な76歳、60歳、46歳のデータです。

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3例とも、入浴中に自律神経活動が低下しています。(3例とも著しい自律神経低下ではないため血圧は維持されています。糖尿病、飲酒などの自律神経低下群は著しい低下を引き起こす可能性があります。)3例の場合、湯船から出たときに血圧低下を起こしています。これは、入浴中の溺死に次ぐ入浴中の転倒事故の要因につながります。

■38℃の浴槽で実験してみました。
お湯の温度を変えて実験してみました。60歳男性です。。

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入浴中に自律神経活動は低下せず、湯船から出ても自律神経は機能しています。38℃~40のお風呂の場合、自律神経は低下しないようです。
○ 高温より中温の入浴の方が自律神経的には良いようです。
○ 自律神経が低下している ●糖尿病 ●パーキンソン病などの方はより注意が必要です。(74歳パーキンソン患者介護施設で溺死・2013.01.12新聞報道)
○ 過度のアルコール摂取は自律神経が低下しますから、健常者でも飲酒後の入浴は注意が必要です。(アルコール摂取後サウナで2名死亡・2013.01.08新聞報道)

是非、自律神経を測定されることをお勧めします。特に、高齢者は疾患の有無に拘わらず自律神経のよい方と悪い方とに二分されています。患者様の自律神経を知っていただくことが必要だと思います。