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■自律神経回路

自律神経中枢は、求心路として中枢神経・内臓感覚神経の信号を受け、遠心路として交感神経・副交感神経の信号を出力します。自律神経(交感神経・副交感神経)と自律神経により調節される内分泌によって全器官をコントロールしています。

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■ティルトアップは自律神経のはたらきを評価する有効な手段です

ティルトアップ・起立により血液が重力・ニュートンの法則で、下肢に貯留し、静脈環流量が減少します。健常な場合は、左心室容積減少によるメカノ受容体、瞬間的な血圧低下による圧受容体の信号により、自律神経中枢から、交感神経亢進の信号を出し、心拍の増加と末梢血管を収縮し、脳血流を維持します。さらに、レニン- アンジオテンシン- アルドステロン系の活性化および抗利尿ホルモンの分泌により、循環血液量を増加させることにより、立位に適した脳血流を維持します。

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■ヘッドアップチルト試験(起立負荷試験)の目的

神経調節性失神(心抑制型・血管抑制型・混合型)をはじめ血管迷走失神、頚動脈洞症候群、情動失神、状況失神(排尿・嚥下・排便・食後・咳など)などの神経調整性失神症候群の診断・治療効果の判定には、ティルト試験による交感神経・副交感神経の機能評価が有用です。

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