「第1回臨床自律神経機能Forum」抄録

脇英彰1)、鈴木卓也1)、上馬塲和夫1,2,3)、久島達也1,2,3)

1) 帝京平成大学大学院健康科学研究科  2) 帝京平成大学ヒューマンケア学部鍼灸学科
3) 帝京平成大学東洋医学研究所
【目的】
唾液中のsIgA量は自律神経系によって制御されていることから、100Hz鍼通電がこれらに及ぼす影響を検証した。

【方法】
健常者16名(男女、20-23歳)を対象に無処置群と鍼通電群に割り付け、クロスオーバー試験を実施した。鍼通電刺激は、頻度を100Hz、部位を両側前腕とし、5分間の安静後に15分間行った。刺激終了後は40分間の安静を持続させた。自律神経機能評価として、心拍変動解析による低周波(LF)と高周波(HF)成分を刺激前、刺激終了直後、20、40分後に測定し、LF/HFを交感神経活動、HFを副交感神経活動の指標とした。唾液中sIgA量は、自律神経機能評価と同時期に採取した唾液を試料として、Brad ford法とELISA法により蛋白補正値を評価した。

【結果】
LF/HFは鍼通電刺激終了直後、HFはその刺激終了20分後に有意に増加した。唾液中sIgA蛋白補正値は、刺激終了40分後に有意に増加し、刺激終了20分後のHFに正の相関を示した。

【結語】
100Hz鍼通電は自律神経機能に作用することで唾液中sIgA量を増加させる可能性が示唆された。研究の重要性が従来にも増して大きくなりつつある。