◆太田 眞1)、清水智美2)、今西昭雄1)小原 誠4) 、鈴木政登3)

1) 大東文化大学  スポーツ・健康科学部 2) 桐蔭横浜大学 医用工学部 3)東京慈恵会医科大学  臨床検査医学講座4)愛宕フォレストタワー クリニック

◆【目的】250Kmウルトラマラソンおよび24時間走での心筋疲労、脳疲労および腎機能障害につき本大会で報告した。自律神経は刻々と変化するストレスに対応し交感神経、副交感神経を介し生体の均衡を維持するがこの崩壊が走行の安全を脅かす。今回250Kmウルトラマラソンにて「きりつ名人」の使用経験を報告する。

◆【対象・方法】250Kmウルトラマラソン参加者(45歳、男性、O.K、過去5回優勝ベテランアスリート)に「きりつ名人」による測定を前日夕方、スタート直前、ゴール直後に行った。(case)
対照としてO.Kと同時にゴールした初参加、初完走の(31歳、男性、H.K)にゴール直後に「きりつ名人」による測定を行った。(control)

従来の評価法はホルター心電図によるパワースペクトル解析が主流であったが結果解析に時間がかかり実用的ではない。「きりつ名人」では能動的な起立負荷試験で交感神経および副交感神経の心拍ごとの変化をリアルタイムで表示され、その活動の大きさ・バランス・反応・切替・回復の観点から五角形の表示によりモニター的に総合的評価が可能である。数分間の検査で瞬時に自律神経応答の結果が判明する。同時にPOMS感情プロフィール検査,および血中乳酸値を測定した。

◆【結果】•O.K、H.Kはゴールタイムは同時で記録はほぼ29時間15分前後であった。

•O.Kの「きりつ名人」測定結果はマラソン前後で「切り替え力過剰型」から」「安静時自律神経活動低下、健常型」に、POMSはアイスバーグ型から疲労型に、乳酸は3.0 から7.8mmol/lと上昇した。

•H.Kはウルトラマラソン直後で交感神経バランス過緊張型・切り変え力遅延型、立位時自律神経活性低下型でPOMSでは疲労・緊張が亢進していた。

◆【結論】ウルトラマラソンの完走者には「きりつ名人」の使用によりPOMSと同様な評価が可能であり、簡易的かつ迅速に選手のコンディショニングに寄与できる可能性がある。

 

 

◆第66回日本体力医学会総会・第22回日本臨床スポーツ医学会