脇の下を冷やしてみると・・・
ウィリアム・オスラー(1849年 – 1919年 カナダの医学者)の言葉に、
“Humanity has but three great enemies: fever, famine, and war, and of these by far the greatest, by far the most terrible, is fever.” ― William Osler―
(人類の3大の敵;発熱、飢餓、戦争の中で最も恐ろしいのは発熱である。)というのがあります。
発熱(病気による)とうつ熱(外部環境因子による)による高体温という違いはありますが、うつ熱を発生させる熱中症に十分気をつけたいものです。
うつ熱による体温上昇には、自律神経である体温調節中枢と体液量調節中枢が大きく関与しています。
●通常、高温・高湿環境下で体温が上昇しても、体温調節中枢の放熱作用(末梢血管の拡張と発汗)が促進され体温を下げ一定体温を維持します。
(放熱作用;血管の拡張(交感神経β作用)と汗腺刺激(交感神経コリン作用))
しかし、
● 放熱作用が十分働かず(うつ熱に間に合わない)体温上昇を招く。(体温調節機能残存)
●大量の汗の流出によりそれ以上体液(水分とナトリウム)を失わないよう体液量調節機能が働き、発汗作用が中止(体温調節機能障害)され体温上昇を招く。
という機序で熱中症になるようです。
そこでReflex名人で、自律神経機能が正常な人に対して、脇の下に冷却用パットを挟む実験をしてみました。心拍数は低下し、副交感神経が亢進、交感神経が抑制されるという同じ結果が得られました。
実験結果から体温上昇時に血液を冷却させると、体温を上昇させない効果があり、体温調節機能が残存しているうちの応急措置としても効果があるものと思われます。
余談;汗腺は交感神経支配ですが、神経伝達物質はノルアドレナリンではなくアセチルコリンです。汗だけにアセチルコリンというわけではないでしょうが…