仮眠は疲労回復やパフォーマンス向上にどのような影響をもたらすのでしょうか?
1例ではありますが、夜間の長時間作業後に仮眠をとることで、認知機能(PVT検査)および自律神経活動(心拍変動解析)にどの程度効果があるのかをクロスウェル社製ソフト「PVT名人」と「きりつ名人」でみてみました。

状況設定

  • 作業内容: 朝9時から夜3時ごろまでパソコン作業を実施。
  • 仮眠の条件: 夜間作業後に約2時間の仮眠を取得。
  • 測定項目:
    1. PVT検査(反応時間やエラー率の変化)
    2. 心拍変動解析(交感神経、副交感神経、全体的な自律神経活動の変化)

分析の概要

  • データ対象:
    長時間作業後の仮眠前後(深夜から翌早朝まで)の心拍変動およびPVTデータ。
  • 仮眠前の状態:
    極度の疲労状態(心の疲労・体の疲労がVASで高値)。
  • 仮眠後の状態:
    仮眠後に回復が見られるかをPVTと心拍変動の結果から分析。

主な結果

1. PVT検査

  • 反応時間(RT):
    平均反応時間が短縮し、注意力が改善。
  • ミス(Lapses):
    仮眠前には頻発していたミスが大幅に減少。

2. 心拍変動解析(自律神経活動)

  • 交感神経
    仮眠前には交感神経活動が過剰に高まっていましたが、仮眠後は低下しました。
  • 副交感神経活動
    仮眠後に増加しました。
  • 自律神経活動
    疲弊していた自律神経活動が仮眠後に活性化しました。

PVT解析結果

MeanRT  反応時間の平均
Slowest  10% RT  反応時間の90%パーセンタイル
Fastest RT 反応時間の最小値
Lapse probability 反応が遅れた*割合(500ms以上)

心拍変動解析結果

PVT名人測定直前に、きりつ名人で測定。安静時と起立負荷時の心拍変動解析を評価。

VASの変化

今回のデータから・・・

短時間仮眠により、反応速度の改善と注意力の向上がみられました。一方で身体的ストレスが依然として高いことや、心拍も依然として速く、起立時の自律神経の反応が乱れているため、心身の完全な回復には至らない可能性があると思われます。