「第1回臨床自律神経機能Forum」抄録

■朝比奈 正人 神経内科津田沼

神経疾患は自律神経不全を伴うことが多く、神経内科領域の臨床で自律神経の評価は重要である。自律神経障害は突然死の原因となり、患者の生命予後に影響する。また、起立性低血圧は起立困難によりADLを制限し、頻尿や便秘はQoLを低下させる。さらに、自律神経障害の評価は、神経疾患の診断においても重要である。簡便で非侵襲的な心拍変動検査は、head-up tilt検査と並んで神経内科領域の臨床で最も汎用されている心循環系自律神経機能検査のひとつである。
自律神経不全を主症状とする神経疾患として自律神経不全に加えてパーキンソニズムや小脳症候を伴う多系統萎縮症、自律神経不全のみを呈する純粋自律神経不全症などがあり、これらの疾患では心拍変動は低下する。筋強剛、動作緩慢、静止時振戦、歩行・姿勢反射障害などを呈するパーキンソン病も自律神経不全をしばしば伴い、心拍変動も低下する。パーキンソン病の類縁疾患であるレビー小体型認知症においても自律神経不全がみられるが、その程度はパーキンソン病よりも重度なことが多く、心拍変動の低下は顕著である。家族性脊髄小脳変性症であるMachado-Joseph病(SCA3)においても軽度の心拍変動の低下がみられ、frequency-domain解析では交感神経優位の所見を呈する。また、心拍変動の評価は、糖尿病性ニューロパチーを鋭敏にとらえることが可能である。一方、POEMS(クロウ・深瀬症候群)では、重度の体性末梢神経障害を呈しても末梢自律神経障害は軽微であることが多く、心拍変動も正常である。