「第1回臨床自律神経機能Forum」抄録

Autonomic nervous response of (50 Km and 20 Km) Marathon runners

清水 智美1) 太田 眞2)

1)桐蔭横浜大学  医用工学部  生命医工学科
2)大東文化大学大学院 スポーツ・健康科学研究科

目的】
自律神経は常時刻々と変化し、交感神経と副交感神経の平衡を保とうと働く。我々はマラソン(50Km・20Km)時に自律神経がダイナミックに応答し、自覚症状では推測できない変化を捉えたことを検討してきた。今回は2016年5月8日に行われたマラソン大会において自律神経機能検査きりつ名人を使用しマラソン前後の自律神経応答を検討したので報告する。

【対象・方法】
対象はマラソン大会参加者のうち、マラソン前後に測定することができた8名(男性6名、2名、年齢47歳から70歳、平均58.8±8.7歳)である。きりつ名人は心電図RR間隔を計測し時間領域解析・周波数解析にて1心拍毎の自律神経を定量化、アルゴリスムにより自律神経活動総合得点で表示される(最低0点~最高10点)。総合得点での検討に加え、個人の経時変化についても報告する。

【結果】
きりつ名人スコア はマラソン後に前と比し有意に低下(前6.6±0.83、後2.4±0.65:P<0.01)した。
また、そのうち前々回の同マラソン時において、マラソン前の自律神経応答が極めて不良な中年女性が、今回の直前の計測では自律神経機能が良好傾向にあり、50Km女子の部で準優勝しているという症例があった。

【結論】
マラソン(50Km・20Km)の前後において、8名全員の自律神経機能(スコア)は低下した。自律神経パターンは個人多様であるが、コンディショニングの一つとして自律神経機能検査は有意義であることを確認できた。

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