東京都市大学人間科学部 早坂信哉先生の「児童相談支援におけるバーチャルリアリティロールプレイの可能性—生理的指標に基づく検討— 」が2024年11月1日の日本健康開発雑誌に掲載されましたのでお知らせします。

抄録

背景・目的 本研究は、子ども家庭センター等職員を対象とし、市民との面接の研修としてのバ
ーチャルリアリティロールプレイ(VRRP)と対面ロールプレイ(対面RP)の比較検討及び心拍変
動解析による生理指標の測定を通して、VRRPの特性を検討することを目的とした。
方法 大田区・杉並区子ども家庭支援センターで勤務している相談員 20 名を対象とし、架空
事例にてバーチャルリアリティロールプレイと対面ロールプレイを各回ごとに、実験前安静 1 分
→実験7分前後→実験後安静1分で実施した。心拍変動解析にて心拍数(HR)、交感神経
指標 (LF/HF)、副交感神経指標 (HF)測定した。
結果 バーチャルリアリティロールプレイは実験前→実験中においてHR、LF/HFは有意に上
昇しており、HF は有意に下降した。対面ロールプレイでも同じく実験前→実験中有意に上昇
していた(p=0.04)。実験中→実験後においても、HR は有意に下降し、HF も上昇し同様に有
意差が確認され、バーチャルリアリティロールプレイは対面ロールプレイと同等の心身への影響
があると示唆された。一方、項目比較においてバーチャルリアリティロールプレイは実験中・実
験後LF/HFは対面より有意に低く、実験後HFも有意に上昇した。
考察 VRRP は対面 RP と比較し心理的負担が少なく訓練後平常に戻りやすいことが示唆さ
れた。VRRP はオンラインで研修が実施でき、研修の録画を簡単にできるなど運用面でも有用
性があり、今後活用が期待できると考えられた。