きりつ名人を活用した論文
東京都市大学人間科学部 早坂信哉先生の「温冷交代浴・サウナの自律神経活動への影響 」が2024年11月1日の日本健康開発雑誌に掲載されましたのでお知らせします。
抄録
背景・目的 最近日本において流行しているサウナ入浴法(サウナの後、水風呂に入浴する
サウナ温冷交代浴)があるが、このサウナ入浴の自律神経への影響について学術的な研究は
少ない。本研究では、浴槽を使った温冷交代浴とサウナ温冷交代浴を実施しそれぞれの前後
で自律神経機能を測定し入浴法ごとの前後比較、入浴法による違いの群間比較をし、自律神
経機能の変化を明らかにすることを目的とした。
方法 浴槽温冷交代浴(40℃5 分間全身浴→16℃冷水浴 1 分を 2 回繰り返し→最後は 4
0℃全身浴3分で終了)、サウナ温冷交代浴(90℃5分間サウナ浴→16℃冷水浴1分→休憩
5 分を2回繰り返し)を男女16名(男8名、女8名)に別日で行い、スマートウォッチ型デバイ
スで入浴前、入浴終了直後、入浴終了30分後に心拍を測定し、自律神経活動を解析した。そ
れぞれの介入の前後比較、介入別の群間比較を二元配置分散分析で行った。
結果 心拍数は浴槽温冷交代浴30分後(p=0.004)、サウナ温冷交代浴直後(p<0.001)、
30 分後(p<0.001)とも入浴前と比較し有意に低下していた。交感神経指標であるcoefficient
of component variance low-frequency component / high-frequency component(CC
VL/H)は浴槽温冷交代浴で入浴直後、入浴終了30分後に順次緩やかに低下していた。サウ
ナ温冷交代浴では入浴直後に有意差(p=0.048)をもって急に低下した後、入浴終了 30 分後
には横ばいとなった。群間比較では浴槽温冷交代浴と比較し、サウナ温冷交代浴の入浴直後
で有意にCCVL/Hが低かった(p=0.011)。
考察 サウナ温冷交代浴では高温サウナ室から冷水浴を行うことで大きな温度差で交感神経
が強く刺激され、その後に自律神経反射として交感神経活動が抑制され副交感神経が亢進し
て CCVL/H が入浴終了直後に大きく低下した可能性も考えられる。サウナ後の強いリラックス
感はこうした自律神経活動の変化によってもたらされる可能性も考えられた。