音楽には、楽しさを感じたりなつかしさに浸ったりといった感情面への作用だけでなく、認知面や身体面にもさまざまな良い影響があることをご存じでしょうか?
私たちはこの度、世界中の数多くのエビデンスと自らの検証により、その効果について1冊の本にまとめました(「こころとからだが楽になる音楽活用術」上月正博・酒井博美著 風間書房)。
その中から一部を紹介します。
病院やクリニックで音楽がかかっていることがあります。何となく落ち着くといった印象がありますが、それだけではなく、音楽を使うことにより手術、注射、検査の痛みが減ることが明らかになっています。これは音楽が痛みから気をそらすことで痛みの感じ方に対して作用するからです。このとき、音楽に集中すればするほど、より痛みを感じにくくなるようです。
また、自律神経の活動は音楽によって覚醒と鎮静の両方向に変化することが古くからの多くの研究で示されています。
具体的には、テンポが速くリズムや旋律が複雑で覚醒的な音楽では心拍や筋緊張の増加がみられ、反対にテンポが遅くリズムや旋律が単純で鎮静的な音楽では心拍や筋緊張の減少、皮膚温度の増加がみられることがわかっています。さらには、日常生活に音楽聴取を取り入れるだけで血圧が正常化したという研究結果もあります。
ぜひさまざまな生活場面で、手軽に取り入れることのできる音楽を上手に活用したいものです。

酒井 博美
東京福祉大学短期大学部准教授、東北大学大学院医学系研究科非常勤講師、和洋女子大学心理学類非常勤講師。博士(障害科学)。公認心理師。

 

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臨床自律神経機能Forumでは活発な交流会になることを願って毎回BGMにもこだわっています。
今回は「こころとからだが楽になる音楽活用術」付属の音楽で、会場をより良い雰囲気にと思っております。