最初に「きりつ名人」のお話を聞いた時には、脈拍変動という言葉さえ知りませんでした。ちょっとしたきっかけでクロスウェルの藤井さんとお知り合いになることができ、このフォーラムの第1回に関わるようになりました。その中で脈拍変動を解析することで自律神経機能を評価できるとうかがいとても興味を持ちました。
私自身は、透析クリニックで働いています。透析の患者さんはしばしばふらつきなどを訴えます。そのような症状を自律神経機能で説明できるかという関心がわいてきました。クリニックに「きりつ名人」を導入し糖尿病を合併している方を中心に透析患者さんの自律神経機能を検討し始めています。
まだ、今のところはたちくらみなどの症状と自律神経機能の関連は見えてきていませんが、ADLの極度の低下をきたした方もしくは死亡された方の自律神経機能に一定の傾向が見えてきました。これがはっきりしてくれば、定期的に「きりつ名人」を行うことでリスク評価ができるようになると思います。
 このような臨床に直結するデータを積み重ねることで、脈拍変動の意義をより広い範囲の方に認知していただけるようになるのではないかと考えます。会に参加されている方々からのご報告を楽しみにしています。

2020年1月27日

出川 寿一
宮前平健栄クリニック 院長
(川崎市内科医会 会長)