岩坂潤二
関西医科大学循環器内科

【背景】
健康21では週2回以上の運動実施を運動習慣としており、自宅で運動療法を継続するホームエクササイズが重要になってきている。我々は、明治時代に学校での体操のメニューとして開発された木剣体操をベースに、新しい運動メニューとして木剣体操エクササイズを開発し、その安全性と有効性、楽しさについて検討、報告してきた。原典の「木剣体操法」では、各自永年にわたり行う「要の技(かなめのわざ)」が記載されている。
われわれはこれを元に、約4分30秒のプログラムとしてBTX版要の技を開発した。
【目的】
今回、この要の技が自律神経活動にどう影響するか調べてみた。
木剣体操エクササイズについて:明治初期から教育制度も西欧化され、学校体育も医学合理主義に立脚した合理的体育観を反映し西洋式体操が導入された。一方、武道は正課では禁止となり、課外遊戯の一部とされた。
これに対して伝統的な精神を拠所とし、「体操化」して正当性を確保しようとしたもので、小沢卯之助の 「武術体操」と中島賢三の「木剣体操」などがある。
明治後期のスウェーデン式体操導入とこれを中心とした「学校体操教授要目」制定ののち次第に衰退したが、山形県剣道連盟居合道部の鈴木亨氏(居合道七段)が中心となり、前出の2文献から、新たに「木剣体操」として復元された。2016年に岩坂が鈴木氏から伝達された木剣体操を運動療法用にアレンジし木剣体操エクササイズとした。
【方法】
40歳代後半の男性を被験者とし、きりつ名人による計測のあと、要の技を行い、終了後に再度きりつ名人での計測を行った。
【結果】
前後のデータを比較すると、要の技の前後で自律神経活動の改善が見られた。
【考察】
われわれの要の技は、継続的に簡単に行う運動として適切なものであると考えられた。