第4回臨床自律神経機能Forum

藤田小矢香、小田美紀子、林健司
島根県立大学看護栄養学部

【目的】日帰りのヘルスツーリズム「マイナスをプラスに転じる旅」を企画した。講話(マイナス思考をプラス思考にかえる話)、食事、陶芸体験、温泉浴を体験することにより、自律神経機能に及ぼす影響について科学的検証を行った。
【方法】ヘルスツーリズム参加者45名のうち、温泉入浴を行わなかった女性1名、妊婦1名、老年期1名を分析対象外とした。測定はヘルスツーリズムの前後で行った。自律神経機能検査は「きりつ名人」(株式会社クロスウェル:きりつ名人)を用いた。倫理的配慮は島根県立大学出雲キャンパス研究倫理審査委員会の承認を得て行った(承認番号:187)
【結果】対象者42名(男性3名,女性39名.平均年齢47.5±9.0歳)におけるCVRR(自律神経活動全般),ccvL/H(交感神経活動),ccvHF(副交感神経活動)を分析した。CVRRでは安静と起立で有意に低下していた(図1)。ccvL/Hでは⊿ccvL/H以外のすべての項目で有意に上昇していた(図2)。ccvHFでは⊿ccvHF以外すべての項目で有意に低下していた。
【考察】自律神経活動を示すCVRRと副交感神経活動を示すccvHFは低下し、交感神経活動を示すccvL/Hは上昇していた。変化量(⊿)に有意差はなかった。安静時CVRRは心身の状態を、安静ccvL/Hは心身の緊張度、安静ccvHFはストレスの回復力を示す。このことから本ヘルスツーリズムに参加することで心身の緊張を和らげ、ストレスに対する基礎対応力を整え、ストレスへの回復力を向上させることが示唆された。
【結論】本ヘルスツーリズムは自律神経活動を整え、ストレスに適切に対応できる心身に変化させる可能性が示された。